バスケットボーの聖地、国立代々木第二体育館で開催
この日から、舞台はバスケットボールの聖地、国立代々木第二体育館へと移された。国立代々木競技場第二体育館は、1964年の東京オリンピックでバスケットボールの試合会場として使用された場所。
その後も、数々のバスケットボールの試合が行われ、バスケットボールの聖地となっている。
バスケットボールの選手にとっては、一度プレイしてみたいところであり、全日本大学バスケットボール選手権、インカレの会場として、バスケットボール少年たちのあこがれの会場なのである。
この国立代々木競技場第二体育館で、前戦の千葉に続き親善試合が開催された。
前日の反省から、ディフェンスにさらに注力
(前半終了日本30-18チェコ)
日本代表もチェコ代表もスタート5は前日の千葉大会と同じメンバーになった。
『今日は気持ちを切り替えてディフェンスからバスケットボールをしよう』と試合前に長谷川ヘッドコーチが声をかけ選手たちを送り出した。
第1ピリオド、立ち上がりチェコ代表に連続ポイントを許した日本代表。
しかし、キャプテン小野龍猛選手のゴール、相手のミスから古川孝敏選手がファストブレイクを決めて3連続ゴールとし逆転をする。
中盤に向かって、小野選手のスリーポイント、古川選手からインサイドでパスを受けた竹内譲次選手がゴールで日本代表5点リードのところでチェコ代表はタイムアウトを要求する。
一方日本代表のディフェンスは、マンツーマンディフェンスをベースに、相手陣地からプレスを仕掛け、相手にいい形でシュートは打たせなかった。
第2ピリオド、日本代表は古川選手のスリーポイント、太田敦也選手の気持ちのこもったプレイで得点差を広げていく。
『今日はディフェンスから。』と語った通り、ディフェンスでスコアには見えない活躍でチームを後押しした。
中盤に日本代表は流れが悪くなりかける瞬間、タイムアウトを要求し、その後竹内選手のダンクシュートで会場は一気に沸く。
終盤、日本代表は攻め手を欠いたものの、12点差で前半を終了する。
最終ピリオドで足が止まったが粘り勝ち
(試合終了 日本65-54チェコ)
後半第3ピリオド、日本代表は太田選手と竹内選手を同時起用した。
『このあたりは少し試した部分もある』と長谷川ヘッドコーチが語ったとおり、日本代表もまだ手探りの状況があるようだ。
しかし、『立ち上がりをしっかりやろう』と太田選手が語った通り、最初のディフェンスをしっかり押さえ、早い段階で、田臥勇太選手のカウントワンショットが決まり15点リードまで点差が広がる。
チェコ代表はゾーンディフェンスを仕掛けるが、日本代表は臆することなく、オールコートプレスでプレッシャーをかけ続け相手に得点を許さない。
第3ピリオド終了時点では21点日本代表がリードした。
しかし、さすがにそのプレッシャーも最終ピリオドになり少しずつ激しさが薄れ、相手チェコ代表にペースを握られる。
足が止まり始めてからは、ターンオーバーも繰り返し、一時は相手チェコ代表のアンスポーツマンライクファールからフリースローを決め、古川選手のスリーポイントで得点差を22点差まで再度広げるが、再びチェコ代表がスコアを積み重ねていく。
日本代表はマンツーマンディフェンスに切り替えて、チェコ代表の猛攻を振り切り金曜日の借りを返したのである。
(※アンスポーツマンライクファウルとは、規則の精神と目的を逸脱し不当にプレイしたファウル。正当にプレイしようと努力していたとしても、異常に激しい触れ合いによるものであると審判が判断したファウル。)
『リバウンドで負けているので頑張らないと。』
試合後の記者会見で竹内選手が発したコメントである。チーム最長身である彼の責任から出たコメントである。日本代表は身長が低い分、平面で運動量多くアタックしながら早い攻撃を仕掛ける。これは長谷川ヘッドコーチが目指す日本代表のバスケットボールである。平面でのバスケットボールをするということになると、攻撃の勝負どころのスリーポイントをいかに決めるかということになる。この辺りは長谷川ヘッドコーチが『40%は確保しないと苦しい』と話す。この試合に限って言えば、得点源である松井啓十郎選手のスコアが伸びなかった。しかし、『スリーポイントは水物。』と長谷川ヘッドコーチが語る通り、その日の調子によって左右されるものよりは、きっちりディフェンスをして運動量を多くし手堅く得点をしていく。そういう意味では、竹内選手、太田選手を中心としたインサイド陣がいかにリバウンドに関われるかということになる。
『オフェンスに改善の余地がある。』
一方、このコメントは田中大貴選手が囲み取材で答えてくれたものだ。この日のチェコ代表は初日ほどゾーンディフェンスを敷いてこなかった。そういうこともあり、『この日のディフェンスの出来はあまり参考にならない。』むしろ、オフェンスのほうに改善があるという。得点としては65点。通常よくゲームを観戦する人から言わせれば、オフェンスは80点以上取れば落第点、ディフェンスとしては60点台で抑えれば上出来という。だから65点は決して評価できるものではない。そのあたりは先程の竹内選手とポジションと役割が違うということもあり、対象的なコメントになるわけだ。オフェンスに関しては、いかに早く相手の陣地に入り、ペース良く得点をするか。ここは2戦通じて共通する項目なので、チーム全員が共通理解し次のゲームに臨めるか。この辺りは、初戦の小野キャプテン、田臥選手がコメントした、『チーム全員が同じ方向に向けるか』というところにつながっていく。選手全員が攻守ともに役割を共有することができたときに、日本代表の完成形が見えてくるだろう。
【連載】バスケットボールジャーナリストが見た日本のバスケットボール界のリアル