恥ずかしながら・・・
以前にもお話したが、僕はインターネットラジオにてバスケットボールの番組をもう3年半担当している。しかし、実は女子のゲームを見る機会が非常に少なかった。
正月のオールジャパン全日本総合バスケットボール選手権ぐらいでしか、取材というか観戦することしかしていなかった。
選手の名前やプレイぶりは、インターネットなどで情報は入れていたが、取材していないということもあり、試合までの流れ(状況が中心)をほぼ把握できないでいた。
そういうこともあり、今の女子日本代表がどんな選手たちなのかワクワクしながらその時を待った。
改めて、女子日本代表の顔ぶれをご紹介しよう。
ヘッドコーチ 内海 知秀(うつみ ともひで)
4 三谷 藍(みたに あい)F (富士通レッドウェーブ)
5 髙田 真希(たかだ まき)PF(デンソーアイリス)
6 間宮 佑圭(まみや ゆうか)C (JX-ENEOSサンフラワーズ)
7 栗原 三佳(くりはら みか)SG (トヨタ自動車アンテローブス)
9 山本 千夏(やまもと ちなつ)SG(富士通レッドウェーブ)
11 篠崎 澪 (しのざき みお)SG(富士通レッドウェーブ)
12 吉田 亜沙美(よしだ あさみ)PG(JX-ENEOSサンフラワーズ)
14 本川 紗奈生(もとかわ さなえ)SG(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)
15 王 新朝喜(おう あさこ)C (三菱電機コアラーズ)
17 町田 瑠唯(まちだ るい)PG(富士通レッドウェーブ)
18 宮澤 夕貴(みやざわ ゆき)SF(JX-ENEOSサンフラワーズ)
20 馬瓜 エブリン(まうり えぶりん)C (アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス)
(※ PGはポイントガード、SGはシューティングガード、Fはフォワード、SFはスモールフォワード、PFはパワーフォワード、Cはセンターを示す。()内の所属先は2015年8月26日現在の所属先)
今回のメンバーには、現在アメリカWNBAでプレイする渡嘉敷 来夢選手は召集されていない。
このメンバーでどんな戦いぶりだったのか、代々木第二で行われた2ゲームを中心にお届けする。
内海知秀ヘッドコーチの略歴
選手としては、名門能代工業高校出身で日本体育大学を卒業後は、ジャパンエナジーの前身である日本鉱業でガードプレイヤーとして活躍した。
日本代表にも選出されている。
現役引退後は、2001年からジャパンエナジー(現JX-ENEOSサンフラワーズ)でヘッドコーチになり、2001年から2003年のシーズンまで日本リーグと全日本選手権を連覇した。
2003年からは女子日本代表ヘッドコーチとして2004年アテネオリンピックにも出場。
2006年から再び女子日本代表ヘッドコーチに復帰。
しかし、2008年北京オリンピックの出場権を逃しヘッドコーチを辞任。
2012年、3度目の女子日本代表ヘッドコーチ就任。
このタイミングでJX-ENEOSサンフラワーズヘッドコーチを勇退する。
2013年アジア選手権では43年ぶりの優勝に貢献。
現在リオデジャネイロ五輪出場に向けて奮闘中である。
長男の慎吾選手は、ターキッシュエアラインズbjリーグ京都ハンナリーズに所属している。(2015年8月26日現在)
最後までタフに動き続けた8月15日のゲームから
(8月15日 日本 94-51 チャイニーズ・タイペイ)
この日のスタート5は以下のメンバーとなった。
5 髙田 真希
6 間宮 佑圭
7 栗原 三佳
12 吉田 亜沙美
14 本川 紗奈生
立ち上がり、吉田亜沙美選手のゴールで先制すると、髙田真希選手、本川紗奈生選手の連続カウントワンショットで8点リードとする。
ディフェンスにおいてもチェックが早く、リバウンド後は一気に速攻して得点をしていく。
ゾーンディフェンスを敷き、チャイニーズ・タイペイに難しい態勢からスリーポイントを打たせ、得点をさせない。
後半に入っても運動量は落ちず、結局最後まで走りに走った日本代表が圧勝した。
この日の得点の内訳を確認すると、前半はスリーポイントが1本しか入っていない。
スリーポイントは見方を変えれば水物という解釈になるわけだけど、こういう展開の打開策をしっかり考えないといけない。
内海ヘッドコーチは試合後の記者会見で『スリーポイントが入らなかった時の対策が必要。いかにインサイドで得点を獲得できるか』ということを語っている。
特にドライブということになれば、本川選手が中心になるわけだが、『大きい選手に対してしっかりアタックできる本川選手のドライブが重要』と続けた。
その本川選手は記者会見で『とにかくドライブで勝負していかないといけない』と語ったように、本人もかなり意識が高いところにあり、それが実践できたのは収穫だった。
一方、インサイドの一角である間宮選手は、『ボックスアウトした後に、ゴールに向かって飛べないことがあった。飛べなくてもリバウンドに対する意識を上げる意味でルーズボールなど対処していかなくてはいけない』と語る。
オフェンスリバウンドをどれだけ獲得できるかが勝負の分かれ目になる。
(※ ボックスアウトとはリバウンドに入る選手が、対面する選手に対し素早くターンをして背中を向けて足も広げ、腰を落とした姿勢で体を使ってブロックし、対面している選手がゴール近くに入らないようにする。別名スクリーンアウトとも呼ぶ。)
決めるべきところで決めたから勝った。8月16日のゲームから
(8月16日 日本 74-33 チャイニーズ・タイペイ)
16日のスタート5は、15日と同様のメンバーとなった。
この日立ち上がりから果敢に勝負に行ったのは、本川紗奈生選手。
日本代表のファーストポイントをスコアした後は、ディフェンスから相手のボールをスチールして一気にゴールに向かって、ファストブレイクを決める。
たまらずチャイニーズ・タイペイはタイムアウトを要求。
しかし日本代表は手を緩めない。
今度は吉田選手がスチールからファストブレイクを決め、8点リードとする。
第1ピリオド終了時は5点差まで詰められた日本代表だが、第2ピリオド立ち上がり、馬瓜エブリン選手のゴールから、栗原三佳選手のスリーポイント。
チャイニーズ・タイペイにスコアされた後、栗原選手がきっちりスリーポイントを決めて12点リードとする。
ここから前半終了まで一時は差を詰められるものの、17点リードとし後半へ向かう。
後半に入っても、立ち上がり間宮選手のゴールからペースを握り、ディフェンス面でも、終始走るバスケットボールを展開し、チャイニーズ・タイペイを圧倒。
気が付けば41点差で圧勝した。
アジア選手権に向けて、渡嘉敷選手が合流するが
8月13日の試合も含めると、3連勝という結果でアジア4強の一角、チャイニーズ・タイペイに勝利した。
内海ヘッドコーチも16日の試合後に記者会見で『良い形で終われたのは良かった。山本選手、本川選手を中心に選手の成長した姿を確認できた。』と語った。
2試合しか生観戦はできなかったが、オフェンス時に若干課題は残るものの、収穫のある日本での国際試合だったと思う。
本川選手も試合後の囲み取材で『試合を重ねる毎に、自分のドライブに対してプレッシャーが厳しくなっていたが、自分で行くと決めて勝負した』と語る通り、本人も手ごたえを感じる開催だった。
8月末から開幕するアジア選手権には渡嘉敷来夢選手も選出された。
当然ながら、インサイドの一角としてゲームに出場する。
このチームは、間宮選手が『センターも走るバスケ』だと語る。
渡嘉敷選手も間宮選手もポストプレイ、アウトサイドシュート両方できるプレイヤー。
元々はJX-ENEOSサンフラワーズでのチームメイトだ。
『彼女からはプラスの刺激しかない。』と間宮選手が語るとおり、お互いの意思疎通はできている。
あとは、15日でのゲームにもあった、スリーポイントが決まらない時間帯の時に、いかにインサイドがオフェンスリバウンドでボールを獲得し、ドライブのできる選手がインサイドにアタックし得点を決めきれるかである。
これから始まるアジア選手権においては、『リバウンド』と『ドライブ』に注目してみたい。
【連載】バスケットボールジャーナリストが見た日本のバスケットボール界のリアル