千葉ジェッツとはどんなチーム?
ヘッドコーチであるジェリコ・パブリセヴィッチ氏を語る前に、千葉ジェッツについて触れておかないといけない。
千葉ジェッツは、2010年3月1日に有志が集り、千葉プロバスケットボールチーム準備委員会を設立したのがスタートとなる。
その後、bjリーグ(現ターキッシュエアラインズbjリーグ)への参入が決定し、一般市民からの公募によって『千葉ジェッツ』と命名された。
bjリーグは2シーズン在籍し、その後2013-2014シーズンより、日本バスケットボール協会が中心となって発足したナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)に参戦。
2014-2015シーズンはリーグ参戦後初となるプレイオフ進出も果たしている。
2013-2014シーズンのNBL参戦に合わせて、ヘッドコーチに就任したのが、レジー・ゲーリー氏だった。
レジー・ゲーリー氏は、前年の2012-2013シーズンにおいて、bjリーグ横浜ビー・コルセアーズを率いて優勝に導いた実績の持ち主である。
レジー・ゲーリー氏が率いた最初のシーズンは、20連敗という厳しい記録もあったけれど、シーズンの終盤あたりでようやく氏の戦術が浸透し、最後までプレッシャーを掛け続けるバスケットボールができるようになったところでシーズンを終えた。
2013-2014シーズンは、横浜時代の優勝メンバーでもあるジャスティン・バレル、日立サンロッカーズのポイントガード西村文男、さらに和歌山トライアンズからビッグマン、リック・リカートなどを補強し、体制万全で望んだ。
開幕の日立サンロッカーズ東京戦は2連敗したが、中盤には連勝も重ね東地区5位ながら勝率の関係でプレイオフ進出も果たした。
2015年の1月に行われたオールジャパン全日本総合バスケットボール選手権においては、準々決勝で名門アイシンシーホース三河を破る快挙もみせた。
ホームタウンは千葉県船橋市。主に船橋アリーナ(船橋市)、千葉ポートアリーナ(千葉市)を中心に、ホームゲームを展開する。
昨年ホームゲーム最終戦が行われた船橋アリーナでは4762人の観客動員を記録した。
先日、発表された運営会社の決算発表においても(株式会社ASPE)4期連続黒字を達成。売上高も3.8億円を達成し、新リーグJPBL側が1部参入の条件の1つとして求めた『売上高2.5億円』も達成し、1部参入が決定した。
ジェリコ・パブリセヴィッチ氏の略歴
僕はニュースを見て目を疑った。
ヘッドコーチに就任したのが、ジェリコ・パブリセヴィッチ氏だったからだ。
もちろん、ジェリコ・パブリセヴィッチ氏に問題があるわけではない。レジー・ゲーリー氏でないことに驚いたのだ。昨シーズンの成績からレジー・ゲーリー氏が続投すると思っていた。昨シーズンと同じ体制で臨むような雰囲気を感じていた。
ジェリコ・パブリセヴィッチ氏は、2013-2014シーズンNBL和歌山トライアンズで指揮を取って以来の日本のチームのヘッドコーチ就任となる。
氏はクロアチアで指導者のキャリアをスタートさせ、ヨーロッパのクラブチームでヘッドコーチを歴任し、1981年にはユーゴスラビアのクラブチームでコーチとして2度目の優勝を果たしている。
2003年、日本代表男子のヘッドコーチに就任。
開催国枠で出場した2006年世界選手権では1次ラウンドでドイツに善戦し、パナマに勝利したが1勝4敗の5位となり敗退した。そのため敗退後、解任された。
ジェリコ氏が、再び日本で指揮したチームは、bjリーグ島根スサノオマジック。
その当時、僕は関西に在住していて、2011-2012シーズンの京都ハンナリーズとのプレイオフファーストラウンドでジェリコ氏を取材をしていた。
あの時は、最後の最後に、京都ハンナリーズが辛くも逃げ切ったゲームだった。
ジェリコ氏は、僕の記憶が正しければ、『このチームがようやくプロとして戦うチームになってきた』と語っていた。
当時3シーズン連続得点王マイケル・パーカーを獲得し、彼の得点力を活かしながら戦うスタイルで、ジェリコ氏自身が鍛えたチームという印象があった。
2012-2013シーズンは、NBLの和歌山トライアンズで指揮を執った。
島根時代に選手だったマイケル・パーカー、リンク栃木ブレックスから川村卓也、そして当時bjリーグ2年を経験し、2011-2012シーズンは京都ハンナリーズで島根とプレイオフを相対していたリック・リカートを補強し、シーズン準優勝を獲得した。
2015-2016シーズンの千葉ジェッツの選手たち
それでは、2015-2016シーズンの千葉ジェッツ所属選手をご紹介しよう。
1 阿部 友和(あべ ともかず)ガード ※
3 星野 拓海(ほしの たくみ)スモールフォワード
5 リック・リカート センター
7 宮永 雄太(みやなが ゆうた)ガード
11 西村 文男(にしむら ふみお)ガード
12 岡田 優介(おかだ ゆうすけ)シューティングガード ※
13 クリント・チャップマン フォワード/センター ※
22 上江田 勇樹(うえだ ゆうき) フォワード
25 荒尾 岳 (あらお がく)フォワード/センター
27 石井 講祐(いしい こうすけ)シューティングガード
34 小野 龍猛(おの りゅうも)フォワード
43 ブライアン・クック パワーフォワード ※
2015-2016シーズンは4選手が新加入。
岡田選手は、元日本代表で一般社団法人日本バスケットボール選手会の会長であり、公認会計士という経歴の持ち主である。
阿部選手は昨シーズン、NBLレバンガ北海道のレギュラーポイントガード。
外国人では、ブライアン・クック選手は、元NBAの選手。ビッグマンとして、アウトサイドシュートも打てるスコアが期待できる選手。
クリント・チャップマン選手は、昨シーズンNBL広島ドラゴンフライズ所属。昨シーズン平均リバウンドが15本。インサイドでのポストプレイに期待。
初日から激しかった?
練習後にお話を聞くことができた。
ジェリコHC『初めての練習にしてはとても良い練習ができた。チーム全体においては、バランスが良い。選手構成もよい。平均身長が高いので、どれだけ走る能力があるのか見極めた上で考えたい』
選手からも、総じて厳しくも良い練習ができたと語った。
西村選手『メリハリがあってきつかったけど、細かくて厳しくて初歩的なところをやっていろいろ思い知らされた』
今シーズンから千葉ジェッツの岡田選手『一つ一つ基本的な練習ができた。きちんと基礎練習をし、下積みをしてから対人練習でゲーム感を戻したい。ワクワクしています』
岡田選手とポジションが重なる石井選手『練習は細かくて厳しかった。新しい気づきもあった。岡田選手は経験もあるので、盗めるところは盗んで、自分のモノにしたい』
怪我で出遅れている阿部選手『もどかしい部分もあるが年明けには復帰できるようにしていきたい。優勝できるチームでプレイしたいと思って移籍してきた。チームの印象としては、止めようがないような雰囲気があるので、自分自身は『攻める』というプレイをしたい。千葉ジェッツは、自分を追い込める環境でも最適だと感じている』
【連載】バスケットボールジャーナリストが見た日本のバスケットボール界のリアル